韓国の鳥インフルエンザ発生について思うこと

2014年1月16日から韓国のあひる農場を中心に続発しているH5N8による鳥インフルエンザについて書く。

やっと、最近は続発がなく、終息しつつあるようだ。原因と考えられるトモエガモは、日本国内にも渡ってくるので、国内発生が心配だが、幸いにも現在までは発生は野鳥も含めて認められていない。

渡り鳥がいなくなるゴールデンウィークまで、この平和な状態が続いてほしいものである。

さて、高病原性鳥インフルエンザが発生した場合、日本国内において、発生農場を中心に半径3km圏内を移動制限区域、半径3kmから10km圏内を搬出制限区域とする。殺処分の対象となるのは、発生農場における飼養鶏で、3km圏内は、農場からの鶏や汚染物品等の移動は制限するが、殺処分は実施しない。

しかし、韓国では、半径3km圏内のあひる農場及び養鶏場において予防的殺処分を実施している。

公益の福祉が個人の利益よりも優先される中国ならわかるが、自由主義経済圏の韓国で、よく3km圏内まで殺処分できるなあと思っていたのだが、その根拠が2月17日の韓国農林畜産食品部プレスリリースに記載されていた。

韓国における高病原性鳥インフルエンザ(H5N8亜型)の発生について

・韓国農林畜産食品部プレスリリース (2014年2月17日10時00分)(PDF:696KB)

「特に、忠清北道鎮川(チンチョン)市・陰城(ウムソン)郡の場合、危険地域3km以内の予防的殺処分対象の28農場で14件(50%)が陽性 (別添2)が確認されたため、先制的な殺処分をしなかったとすれば、周辺でAIが広がった可能性が多いと専門家で構成された家畜防疫協議会委員らが評価した。」

なんと、3km圏内の農場のうち、50%が陽性だったのだ。今回の韓国におけるHPAIの発生は、野鳥(おそらく、トモエガモ)か、野鳥から野生動物を介して、ウイルスが農場内に侵入したと考えられる。14件に疫学的関連がないとすると、農場外から農場内へのH5N8の侵入が防止できていないのだろう。

3km圏内の予防的殺処分実施には、韓国内の養鶏業者からの反発もあるのか、今回のプレスリリースには、この防疫対策に対していいわけが述べられている。
「参考として、EU、米国、カナダ、日本等でも我が国と同様、発生農場を中心に防疫地帯(3km、10km)を設定して、移動制限等の防疫措置を実施している。国家別に状況が違うため直接の比較は難しいが、これら先進国でも発生状況、飼育密集度、疫学調査等を総合して、必要時に疫学農家及び一定地域(1〜3Km)に対して予防的殺処分を実施している。」